よろこびの音

わたしを元気にしてくれるもの。

『コンサート』 ~勇気をくれる映画~

夫が久しぶりにDVDを借りたので一緒に観ました。

『コンサート』という邦題の映画です。

 

見たことがある映画でしたが、

以前見た時と同じように、

ラストの演奏に、

スタンディングオベーション

「ブラボー!」と叫ぶ二人。(^^;

 

いや、

そのくらい良かったです。

 

フランス映画の原題は『Le Concert』。

これに「コンサート」という邦題をつけたのはいかがなものか、

「コンチェルト」がいいのではないか・・・

と夫と議論を交わしましたが、

 

広く多くの人に興味を持ってもらえるのは「コンサート」かもしれないと、

今は思います。

DVDになることも見越してつけた邦題だったとしたら、

訳者の腕だと思えました。

 

音楽用語でコンチェルトというのは、

独奏楽器とオーケストラからなる楽曲のことであり、

協奏曲のことを指すというのをこの映画で知りました。

 

何度観ても飽きないラストシーン。

ヴァイオリンとオーケストラの演奏のキャッチボール。

 

惨憺たる出だしの後、ヴァイオリンの音で、

30年前に亡くなったレア(ヴァイオリン独奏者)を思い出し、

オーケストラが心を一つにする。

 

ヴァイオリンが弾くと、

オーケストラが応える。

 

一往復ごとに

ぶっつけ本番のオーケストラの演奏が上がる。

 

観客が、主催者が動揺するほどの出だしから、

不死鳥のようによみがえり、

復活の叫び声をあげ、

羽ばたき、

パリのシャトレ座から見事に飛び立った!

 

初めて観た時の記憶は、

最後の演奏が強烈過ぎて、

あらすじをあまり追っていなかったのだけど、

 

政治が絡む時代風景と、

主人公の音楽への情熱と、

チャイコフスキーの作曲のすばらしさと、

映画監督の演出や、

出演者ひとりひとりが楽器のように

メロディーを奏で、

まるで一つの音楽作品のような映画の作り方、

改めて多様な魅力を感じさせる作品でした。

 

夫曰く、

「フランス版『サウンド・オブ・ミュージック』だ」

 

「音楽は告白だ、叫びだ」

「この曲こそが究極のコミュニズムだ」

 天才指揮者の口から出てくる名言や、

 

ヴァイオリン奏者のアンヌ=マリー役の彼女が

どこかユーリさん(ご近所の友人)に似ているなぁ、など

新たな魅力を感じたりする余裕がありました。

 

私のお気に入りのシーンは、

随所にでてくる目の演技。

 

本当にちょっとした動きで演技している。

 

シャトレ座のリハーサルに現れたコンマスのヴァイオリン演奏シーン。

 

倍音アルペジオ、どうやって弾いてるの?」

という問いに、

「俺の指が弾いてるに決まっている!何を言ってるんだ?」という切り返し。

 

音楽は頭で、技術で弾くものではなく、

自分の内面から発現するものだと、

この作品全体で語りかけてくる。

 

芸術は爆発だ!」と岡本太郎氏は言った。

私の好きな「太陽の塔」の作者。

 

芸術は、作者の感情だ。

作者から出たくてうずうずしている。

 

いや、芸術は、作者の命かもしれない。

情熱かもしれない。

生きている証かもしれない。

 

 

音楽でも、

絵でも、

陶芸でも、

文字でも、

どんな手段を使っても、

表現してみるのがいいと思う。

 

怖がらないで、

表現するといいと思う。

 

改めてそう思わせてくれた作品でした。

表現してみてはじめてわかることがある。

 

やってみて初めてわかることがある。

 

それが自分の未来をつくる。

時間を超えて。

 

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